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ある意味ショッキングなライブだった。
また、人間キース・ジャレットをとことん感じる日でもあった。

色々言い訳はできるのだと思う。
音響の良すぎるホールだったり、キース本人の調子だったり。
だとしても、観客の出す雑音によりキースが演奏を中断してしまったのは事実であり、その後もまた客席から携帯の音が出てとても嫌な後味が残ってしまったのもこれまた確かだということ。 僕が彼のライブを見るのは多分5?6回目だと思うのだけれど、普段MCらしいMCのほとんどない彼が、雑音を出すのをやめて演奏に集中して欲しいと観客席に向かって訴えるのを見たのは初めて。
前回の来日でも時計のアラームだったかのせいで演奏を中断したことはあったけれど、客席に対して切に語りかけるようなことはなかった。

確かに客はお金を払って見に来ている立場ではあるけれど、やはり音楽を一緒に作っていると言う意味では、コンサートがうまくいくようにアーティストに協力する義務があるはず。
そういう意味ではアーティストとリスナーの信頼関係が最後まで成立することなく終わってしまったライブではなかっただろうか。
アンコールを4回(だったと思う)もやってくれたキースだったけれど、何かを取り戻すために演奏しているかの様な彼の演奏がこれほど切なく響いたことは今までなかった気がする。
特に普段なら観客の手拍子の上で笑顔を浮かべて演奏するはずのブルース曲でキースの足踏みが鳴る度に、何か痛い思いが胸に迫って来てしまった。

勿論素晴らしい瞬間はたくさんあった。
そりゃキースだもの。
本当に真剣にピアノに対峙していたのが伝わって来たし、彼の中にある宇宙が展開されて行く様は鳥肌が立つ。
また、明らかに何かざわざわしたものを抱えて演奏していたけれど、それがその瞬間その瞬間でちゃんと音になって現れていて、本当の意味でのインプロビゼーションだった。
音楽はハッピーな、あるいは前向きな感情だけを表すためだけにあるものではないんだな、と思い知らされた気がする。そういう意味では貴重な体験だったか。

また次も日本に来てくれることを祈ります。。。