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2008/05/26
Miles Davis研究本(by 菊地成孔他)[本]
忙しいのと分厚くて電車に持ち込めないためにまだ半分も読めていませんが、相当に面白い本です。
いわゆるマイルス本は自叙伝やマイルスを聞け
モダンジャズのコード理論の中でいう「モード」とファッション史等でよく扱われる意味の「モード」を引っかけつつ、戦後のポピュラー音楽史と資本主義論も兼ねているような視点がたまらないです。
さらにマイルスの女性遍歴とファッションを含む「センス」全般の変遷についても随時触れられており(要するにそのときどきの彼女に影響されて聞く音楽や格好があからさまに変わっていく)、そういった下世話のようでいてそうでない何というか、とにかく刺激になる要素満載ですね。
特に60年代(作品でいうと「Kind of Blue」の後〜「Bitches Brew」辺りに至る頃)の、マーケットの捉えかたも含めてMilesがジャズのフィールドに決別し、ボサノバ、ビートルズ、スライ、ジミヘンといった「世間でメジャーな音楽」と同じ土俵を目指していく流れは、それらの音楽全部に触れてきた自分にとっては「なるほど」とうなずける部分が多々あり、夜中に独りで興奮してしまう内容だったりします。
加えて、リディアンクロマチックコンセプトの観点から当時の演奏を解析する、といった音楽の技法的な部分にもかなり触れており、いわゆる「モードジャズ」から1コードファンクに至る、II-V進行の呪縛に対するマイルスの実験過程も垣間見ることができます。
※念のため言っておきますが、リディアンクロマチックコンセプトを自分が理解しているわけでは決してありません。はい。
こういう話が説得力を持っているのも、ここ数年の「Completeシリーズ」、つまりリハテイクも含めて編集前の音源がどんどん公開されているからこそ断定できる内容だったりするんでしょうね。昔読んだ同種の本では「どうやら」とか「恐らく」とか、そんな話ばかりでしたから。
70年代以降についてはまだ自分もこれから読む感じですが、近年台頭しているサンプリングとループで構成される音楽の先駆けと言われて久しい「Get up with it」(この中の「Rated X」とかきっと今クラブでかかっても通用するでしょう)や「On the Corner」に関する記述はかなりディープのようで楽しみです(ちなみに前に菊池氏がどこか別の記事で書いていた「On the Corner」の解析もこの上なくマニアックでした)。
菊地 成孔好きやMiles好きにはもちろんオススメですが、現代思想のキーワードで音楽を語る学術書が好きな皆さんにも刺激の源としては最適です。
あるいはMiles Davisといえば「Kind of Blue」より前の作品しか知らない(or聞かない)人がそれ以降のMilesを聞いてみるきっかけにもいいと思います。
「Miles命リスナーの代表」とでも呼ぶべき中山康樹氏の「マイルスを聞け」とは対極にあるような本ですが、どちらも面白いですよ。
ちなみにこの記事を書こうとしたのは、久々にワイト島のロックフェスにMilesが出演した際のDVDを見たからなんですが、ついでにCDも久しぶりに聞こうと思ったら、見つからないもの多数。。。
・Seven Steps to Heaven→改めて購入
・Bitches Brew→MDしか持っていなったんで購入
・Fore & More
・In Berlin
・Nefertiti
・1969 Miles
きっと貸したままなんでしょうけど、誰に貸したのかすらもう覚えてません。
でも買い直してみた「Seven Steps to Heaven」も「Bitches Brew」も明らかに音がよくなってます。
MilesのCDは何度も何度も何度も(と強調したくなるくらい)再発が行われ、その度に「Remastered」と書かれているのですが、最近のマスタリング技術の進化にはホントに驚かされます(何度も同じアルバムを買わせようというレコード会社の魂胆というか功罪というか、まあ乗せられているわけですが)。
きっとLPで発売されたときの音像とは別のものになってるんでしょうけど、「今の音」として聞けるのもそのせいでしょうね。
学生の頃よくはまっていた、知恵熱出そうなこの感じ、味わい方は是非どうぞ!!
2007/11/24
何故か明治天皇が気になって[本]
僕は国粋主義者でもないし歴史が格別好きというわけでもないんですけど、本屋で「明治天皇」というシリーズが文庫で出ていて全部買って一気に読んでしまいました。
日本人より日本をよく知っていると言われるドナルド・キーンの書いたものを久々に見つけたんで読んでみようという気になったのもありますけど、一番の理由は高校の頃読んだ漱石の「こころ」にあります。
「こころ」って多分どこの高校でも授業で扱うと思うんですけど、主人公である「先生」は何故自殺したかっていうような問題がテストで出ませんでした?
明治天皇崩御のあと乃木大将の殉死を受けて(だったと思いますが)先生が自殺し、ここで明治時代の知識階層の精神構造みたいな話題があり、そういう文脈で答えされるような問題だったと思いますが。
国語は好きだったんで大抵テストで出るような記述の問題はさらさら答えてた記憶があるんですが、先生の自殺を「明治の精神」に対する殉死と説明する現国の先生にどうも納得が行かず、テストの時もそこだけ白紙回答した覚えがあって、授業後職員室に行って先生と議論してたりもしてまして(あの頃は熱かった!)、自分の中のどこかに「明治の精神って何よ?」という思いがずっとあったんだと思います。
ということで読み始めた「明治天皇」。
面白いです。ただでさえ登場人物が多いのに難解かつ似たような名前ばっかりだったりしてそこを気にし出すと挫折すると思いますが、その辺はそこそこ読み流したとしても上質のドキュメンタリーになってます。文庫で4冊というかなりの長編ですが、注釈や現代語訳の分量がすごいんでそんなに長いという感じはなかったです。
江戸時代後期の和宮下向の頃から乃木将軍が殉死する辺りまで、日本の近代化の道のりを再確認したい人にはとてもオススメです。
歴史の教科書でも明治天皇がどういう人物でといった話題にはほとんど触れていないと思いますが、客観的に見て近代の君主としての評価は世界の中でもかなり高かったことが分かります。そういう意味では君主を神のように崇めさせている意味で参考にできる(というか思い浮かべやすい)北朝鮮の金正日とは全く異なっていたようです。
逆に明治政府の中枢でのどたばた(今の政局なんか目じゃない位いい加減です。都合が悪くなるとすぐ体調を理由に総理大臣が辞職し、議会解散となっていたり、選挙では賄賂が横行したり、もうひどいですね)する議会とかを見る限り、少なくとも国家の最上部では明治天皇が「現人神」であったような印象は全く受けないですね。
乃木大将の殉死についても、新しい大正天皇を補佐、教育する義務を怠ったとして随分批判も受けていたようです。
もっともそれより周辺の階層に属する知識人にとっては確かに神に限りなく近い存在として受け止められていたようですし、いかに当時の日本が西欧列強に追いつこうと無理をしていたかという流れはよく分かります。
とまあこういう流れをふまえてもう一度「こころ」を読んでみようかと思っているわけです。はい。
2007/05/10
ビートルズレコーディング秘話[本]
チェロの歩さんがブログで紹介していた「ザ・ビートルズ・サウンド 最後の真実」という本なんですが、
ジェフ・エメリックというビートルズの中後期にレコーディングエンジニアをやっていた人の回想録でして。
これスゴい!メチャクチャ面白い!
レコーディングに関わっていてor興味があってビートルズのサージェントペッパーズやアビーロードなんかで「あのサウンドかっこいい」と思える全ての人にオススメです。
ちょっと高いし分厚いけど、読み始めるとぐいぐい進んでしまう本です。
ビートルズのプロデューサーとして有名なジョージ・マーティンとの関係やその役割の違い、
Let it beのミックスで有名なアラン・パーソンを毛嫌いしていた話、
それにビートルズの各メンバーについての描写も興味深く、それだけでも楽しめます。
かつものすご〜くマニアックなマイキングやミックス段階での各処理(コンプとか)の話など、
レコーディングというものがどう進んでいくのか、どうやって音源という形で音楽ができていくのか、
そこにエンジニアがどう関わっているのか、実作業の詳細から気持ちの面での関わり方まで
色んな角度からこのジェフ・エメリックという人の貢献が再発見できます。
で思ったんですが、
やっぱりレコーディングやミックスのエンジニアリング作業は
マゾ気質があって我慢が好きな人じゃないと向いてないです。
実体験でもそう思うし、この人の本を読んでやっぱりという感じでした。。
2006/11/25
灰谷健次郎さん死去[本]
23日灰谷健次郎さんが癌でなくなったそうです。葬儀などは近親者のみで行うということであまりメディアでも大きくは報じられなかったようですが、いじめが深刻な社会問題になっている中、子供の目線で人の気持ちと社会のあり方を伝えてくれた貴重な存在を失ったのは何か象徴的な気がします。
僕が数年前初めて波照間島を訪れたのは、仕事が忙しい中「太陽の子
石垣島から波照間島に渡る船から本当にそこに「瑠璃色」の海が見えた時の気持ちは今でも忘れられないです。
「太陽の子」が長かったら「ろくべえまってろよ」でも何でもいいんです。
灰谷さんの残してくれた大きな財産をちょっとでもかじって、どんな状況下にしろ自分が今社会の中でこうやって何とか居場所を確保してやっていられることの有り難さをもう一度感じてみませんか。
Posted by taro at 11:08 AM |
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- ごーはら : 自分も好きでした。 灰谷さんの作品。 半年くらい前に突然思い立って「...
- taro : →ごーはらさん コメントくれてたんですねえ。どうも。 僕も突発的に思い...
2006/01/04
岡本太郎の衝撃[本]
ある界隈でブームになっている岡本太郎の本を2冊ほど買ってみました。いやあ目からウロコというか何と言うか。
のうのうと暮らしている(というつもりも無かったんだけど)自分が恥ずかしくなりますなあ。
まだちょっとしか読んでないんだけれど、例えば
「そもそも自分を他と比べるから、自信などというものが問題になってくるのだ・・・(中略)
自信に満ちて見えるといわれるけれど、ぼく自身は自分を終止、落ちこませているんだ。徹底的に自分を追いつめ、自信を持ちたいなどという卑しい考えを持たないように、突き放す。」(「自分の中に毒を持て」より)
みたいな下りは今の自分にとってはかなり痛い。 [続きを読む...]
2005/12/31
1リットルの涙ー続き[本]
先日、ドラマで有名になった(といっても僕は1回しか見てないんだけど)「1リットルの涙」を紹介した訳ですが、続けて患者だった木藤 亜也さんのお母さんが書いた手記を読んでみました。
この2冊はセットで読んだ方が理解が深まりますね。 [続きを読む...]
2005/12/11
1リットルの涙[本]
電車に乗る時間に何か読もうと思ってキオスクに売っていた「1リットルの涙」の文庫本を買ってみました。あ、あれです。ドラマで最近やっていたやつ。
いわゆる泣ける本なのかと思うとそうでもないです。
逆に勇気付けられる、といった楽天的な内容でもなく。
何年、という単位で確実に死に向かい、そのくせ意識だけははっきりしたまま、という厳しい現実を十代の筆者がどう受け入れ(いや時に受け入れられず)、自分がなぜ生きているのか、といったシンプルかつ重過ぎるテーマ。
自分の人生とどう向き合っていくのか、というある種のドキュメンタリーかな。 [続きを読む...]
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