音楽の流通について考えてみると

作ったCDをちゃんとお店に置いてもらったり全国で買えるようにしようと思うと、ものすごーく色んな手続きが必要で、それは楽器の演奏とも録音やミックスの技術とも全然関係ない世界で、商工会議所だの日本レコード協会だのJASRACだの、今まで知らなくても、いや少なくともその存在を意識しなくてもいい場所の名前がたくさん出てきます。入金口座をどうするとかの話までくると区役所や法務局まで関わってくるし。

今でも手売りは十分できて、通販も一応できて、ある程度のことはそれでもいいのだけど、いい作品はやっぱりちゃんとした形で色んな人に聞いてほしいなと思うわけです。
ちゃんとっていうのは誰にもいちゃもんを付けられないようにって意味ね。
勿論それは別に儲けようとかそんなつもりではなくて。
でも例えばiTunesで音源を買えるようにするのに必要なのは手続きとそのつての有無の問題であって音楽自体の出来とか評価は関係ないとか分かると、iTunesに別に執着してるわけでなくてもなんかこうしっくり来ないんです。

まあ最初はCD(いや正確にはCD-Rか)になるだけでも十分素敵なことで、ジャケットができればもうスゲーことだったりして、そういう初期衝動も言うまでもなく大事だけれど、他人の作品も含め何回も音源を作っていくと、やっぱり「このCDをもっと色んな人に聞いて欲しい」となるし、音楽そのものの出来以外のところでがっかりさせたくないという気持ちも強くなって来ます(あ、音楽そのものの出来に納得できるというのは当然最優先事項ですよ)。
逆に、良い歌を作るのに、いい演奏をするのに命かけてる人たちにそういう周辺業務で余計な負担を感じて欲しくないというのもあるし。いや知っておくこと自体は大事だけど順番が逆になって欲しくないというのが正確か。「音飛びが・・・」とか「CDまだ発送してない・・・」とかね。
ちなみに自分が演奏でも録音でも関わっている音源なんかは、自分のベースを録音する時間がほとんどなくなって「本末転倒とはこういうことか」なんてことも多々あったりしてすごいジレンマなんだけど、まあそこは色んなジレンマ抱えつつ悩みつつ「最後はまあ何とかなるだろう」でやってます。あ、本筋からずれましたね。

で、知れば知るほど日本の音楽業界のお金がかかってかつ関係者の数が増えやすい構造なんかが分かって、かつそういう面倒くさい構造について、良く言えばミュージシャン側に手間をかけたくなくて、悪く言えば面倒くさくてレーベル/プロダクション/マネージメント側から情報が共有されてなくて、大小無数のトラブルの元になってるんだろうなということも分かってきます。
メジャーからインディーズに至るまで、ノートラブルで済んでるケースの方が少ないんじゃないかしらん。
複雑怪奇な構造も問題だけど、ミュージシャン側(ミュージシャン本人とは限りませんが)の無知・無関心もやっぱり問題でしょうね。本人のせいではなく、知る手段がないというか。
見慣れた光景ですけど、原盤権が何なのかも説明せずに「レコーディング全部やってあげるから」って音源ができあがると「とりあえず原盤権はこちらってことでよろしく」みたいな(あ、それ自体が悪いって言ってるんじゃないですよ。会社が制作費用を負担することの意味合いが伝わってないってことです)。
外国のやり方がベストなのかは分からないけれど、ミュージシャンサイドに立って面倒な事柄を双方に分かり易く中継できるパーソナルマネージャみたいな立場の人がもっと活躍できるようにした方が健全だと僕は強く思いますけどねえ。
善意のボランティアだけで成り立つ世界ならまあいいんでしょうけど、最初に書いた色んな手続きだけで何万も事務手数料が発生するわけで、それは会計上のことも考えたら「立て替えといたから後で返すね」のレベルでは済まない話なわけですし。

とにもかくにも、パッケージングから流通形態まで含めてよりよい形で音楽を皆さんに届けられる形を追求してただ今鋭意勉強中です。
現在マスタリング1件、ミックス2件、録音1件が進行中で、これからやる予定のものも2件あるんで、それぞれに合ったベストの形を目指して頑張ります。

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